◆漫画紹介◆奈良時代、長岡良子<古代幻想ロマンシリーズ>

 ちょっと古い漫画ですがご紹介。



 なんと! Kindle版で昨年出ているとは、たったいま知りました!
 もちろん私が読んだ(持っている)のは紙の本ですが。


 タイトルになっている「初月の歌」とは――

  大伴宿禰家持の初月(みかづき)の歌一首


  振仰(ふりさ)けて若月(みかづき)見れば

  一目見し人の眉引(まよびき)思ほゆるかも


     ――『万葉集』巻第六

初月の歌下の句。手作りなんちゃって料紙に書


 万葉集の編纂で有名な歌人・大伴家持の歌です。

 大伴家持の若かりし日々を描いた漫画なのです。

 彼は名門・大伴一族を背負って立つためもあり、
 叔母・大伴坂上郎女(いらつめ)の娘である坂上大嬢(おおいらつめ)をめとります。
 幼馴染だったふたりが結ばれるまでの紆余曲折を描いています。


 主人公の家持のよき友人にしてライバル役として、
 藤原八束(やつか)が登場します。

 八束は不比等の次男・北家房前の三男坊。
 兄には称徳女帝の晩年の政治を支えた永手ら、
 弟には遣唐使の清河などがいます。
 八束はのちに真楯(またて)と名を変え、その血筋は道長まで受け継がれる
 北家および藤原氏の嫡流となります。

 八束という人物、史実としても優秀で、いとこの仲麻呂がライバル視していたそうです。
 (八束薨伝より。『人物叢書 藤原仲麻呂』吉川弘文館、2014年、第六刷、101頁)

 漫画の中で本人は、
 「三男坊の気楽さで出仕もろくにせず 学問にばかりうち込んできましたが」
 と、家持に語っています。

 そして実際、八束はいわは“藤原氏の政敵”ともいえる家持らと交流もあったようで、
 万葉集巻六から、彼の家で安積親王や家持が宴を催していることがわかります。




 ひとつ付け加えると、大嬢の母・坂上郎女がとてもいい女に描かれています

 一族を束ねる精神的支柱であり、娘と一族の有望株の家持の恋愛に
 おとなの気遣いを見せてうまくコントロール(!)する美しき叔母。
 さらに家持はある女性から“真実”を指摘されてしまいます。

  あなたにとっての郎女は 叔母であり母であり
  理想の恋人でもあるのだわ

 これからどんどん政治的に辛い目に遭っていくことになる家持の、
 まだ若いころ、青春の物語です


 ■シリーズについて、全作品まとめました■
  長岡良子<古代幻想ロマンシリーズ> (くじょう みやび日録)


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