◆展覧会記録◆2014年 五島美術館

 東京世田谷・上野毛(かみのげ)にある中規模の美術館「五島(ごとう)美術館」。

 この美術館では国宝「源氏物語絵巻」と「紫式部日記絵巻」などを所蔵していて、
 毎年それぞれ春(GWごろ)と秋に公開しています。

 昨年(2014年)5月と10月に訪れたときのことを記したいと思います。

 いずれも学芸員さんによる1時間程度のギャラリートーク(無料)を拝聴しました。
 ギャラリートークは作品を前に人を集めて解説するのが一般的ですが、
 「絵巻」という個人(一人か多くて二人)で鑑賞する小型のものが対象なので、
 別室でスライドを見ながらの解説という形をとっているそうです。

 源氏物語絵巻、紫式部日記絵巻……共通するのは?
 なんといっても紫式部ですよね!
 そして、あの幻の(?)二千円札には、この美術館が大きく関わっているのです!

 二千円札

 向かって左側の絵は、「源氏物語絵巻」のうち、当館所蔵の「鈴虫(二)」より、
 冷泉院と光源氏が向かい合っている図です。

 冷泉院とは、光源氏が父の寵姫・藤壺に生ませた不義の子!
 しかも天皇位にまでのぼってしまった不義の子ですよ!
 なぜにこの場面をセレクト? という気もちょっとしますね。
 
 絵の上に文字がかかっているのですが、何とこの文字、よく見ると、
 当館所蔵「鈴虫(一)」の冒頭場面、絵とは無関係なんですね。
 しかも、下のほうをトリミングしており、ちゃんと読んだ人がいたら、
 文意が通じないことに気づくはずです。

 うーん、なんといい加減な。

 そして右下の女性は、「紫式部日記絵巻」(五島本第一段)から、
 “紫式部と思われる女性”の姿を抜き出しているのですが……
 なんと、最近の研究結果では、
 どうやら紫式部ではない
 とも言われているのだとか……!
 (この場面にはもうひとり女性が描かれており、そちらが紫式部である
 可能性が高い)

 なんだか、すごい裏話でした


 
 五島美術館が所蔵している「源氏物語絵巻」は、
 阿波蜂須賀本として伝来した「鈴虫(一)(二)」「夕霧」「御法」の計四面の絵を含む、
 推定十巻本として一巻弱に当たります。
 
 同じく「紫式部日記絵巻」(五島本)は、
 額装6面(詞書3段・絵3段、詞書と絵は交互でセット)で、
 寛弘5年(1008)10月17日の内容が1セットと、11月1日の内容が2セットとなります。


 
 印象的だったのは、やはり歴史、藤原氏好きの私としては、
 史実として有名な宴を描いた、「紫式部日記絵巻」11月1日の後半部分。

 いい歳こいて女房にちょっかいを出す顕光
 さらに同じようにちょっかいを出しているようにしか見えないが
 実は女房の衣装チェックを厳格に(?)おこなっているだけの実資
 と思えばかわらけ持って得意ののどを披露しだす斉信
 そしてそして、「わかむらさきやさぶらふ」の公任……
  (この日公任が「若紫」と紫式部に声をかけたことが、
  「源氏物語」への史料上初めての言及であり、
  このことから11月1日は「古典の日」とされている)


 美術的観点からは、「源氏物語絵巻」の復元作業が気になりました!
 展示では、本物とともに、現代の画家・技術者によって復元された
 美しい絵巻も並んでおり、感動します 
 美術品の復元や、保存修復というのには、とてつもない憧れがあります。

 この「源氏物語絵巻」の復元に関しては、
 入手しやすい本が出ているので(五島美術館でも販売)あげておきます。

 
よみがえる源氏物語絵巻―全巻復元に挑む
NHK名古屋「よみがえる源氏物語絵巻」取材班
日本放送出版協会
2006-02





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