◆展覧会記録◆2015年 五島美術館

 東京・世田谷区にある中規模美術館の五島(ごとう)美術館。

 現在、特別展<春の優品展―和歌と絵画―>を開催中。
 そして、明日(4月29日)から! 国宝「源氏物語絵巻」も公開します!!
 (特別展、源氏物語絵巻公開とも、5月10日まで)

 今年は源氏物語絵巻をパスして、すでに拝見してきました。
 特別展は、館所蔵品のなかから、歌集の断簡である古筆
 歌人の肖像画である歌仙絵、また琳派の絵画など約50点をセレクト、
 ことに“和歌”に焦点をあてた展示となっています。


 ◆ 古 筆

 “古筆”とは、主に平安~鎌倉時代までの和様の書のすぐれたものをいい、
 それが断簡となったものを“古筆切”(こひつぎれ)といっています。
 古筆切で圧倒的に多いのは和歌、それも『古今和歌集』はその半分近くを
 占めるとか? 『和漢朗詠集』を書いたものも多く、後者に関しては、
 藤原公任がセレクトした和歌と漢詩のアンソロジーですから、
 その成立(1020年前後)よりあとの古筆ということがわかるため、
 年代が限定されて鑑定や研究に非常に役立つのだそうです。

 私は書道をかじっており、古筆の臨書が好きなのですが、
 「かなと漢字と両方入っているのがいい!」と思い、『和漢朗詠集』を書写した
 古筆「大字朗詠集」を選んでいます。

 今回気づかされたのですが、実は『万葉集』を書写した古筆も
 漢字とかなの両方が入っているものが一般的のようです。
 というのも、“万葉仮名”とひらがなを併記する形が多いからです。
 今回藍紙本万葉集切などが出ていましたが、たしかにその形で、
 万葉集の古筆も臨書にいいかな、と心惹かれました。


 ◆ 歌 仙 絵

 和歌にまつわるということで、“歌仙絵”もたくさん出ていました。
 歌仙(軌範とされるすぐれた歌人)の姿を絵に描いたものの総称です。
 ことに、これまた平安中期の藤原公任による「三十六人撰」をもとにした
 「三十六歌仙絵」が流行しました。

 展覧会では、「三十六歌仙絵」の代表格<佐竹本><上畳(あげたたみ)本>から
 一点ずつがそろって出品されており、貴重です(いずれも鎌倉時代初期)。


 ほかにも数点歌仙絵が出ていますが、私の注目は、時代不同歌合絵です
 後鳥羽天皇撰『時代不同歌合』をもとにした白描歌仙絵巻の断簡で、
 元になった歌合は、時代の異なる歌人百名とその詠歌各3首を左右に配し、
 和歌の優劣を競う歌合に構成したものです(50組150番)。

 時代の異なる歌人、というところに面白さを感じます
 後鳥羽天皇など当時の人は、ほんと和歌マニアだったんだなぁ、という気がして。
 まぁやっていることはアンソロなのですが、時代を超えた夢の対決を創り出す、
 ちょっと現代でいう二次創作的な香りがするなぁ
……なんて。

 展示されていた<伊勢・後京極良経像>だなんて、女と男というのもロマンチックで、
 絵にしても美しいですしね(白描画なので派手さはないですが)。


 ◆現状模写 と 復元模写 ~源氏物語絵巻

 明日(4月29日)から展示の「源氏物語絵巻」は、当美術館所蔵分の
 阿波蜂須賀本として伝来した「鈴虫(一)(二)」「夕霧」「御法」、
 計四面の絵を含む部分です。

 本物のほか、「復元模写」が並んで展示されます。
 復元模写とは、絵巻成立当時の色彩を最新の科学技術を用い調査・分析し、
 現代に鮮やかによみがえらせたものです。
 いっぽう、本物が出ない期間には、「現状模写」が展示されていました。
 現状模写は、現在の状態を寸分違わず模写した精巧なものです。
 剥落の状態などまでそっくり同じに作られているそうで、その技術には感激です。

 いずれも、本物ではない、模写だ、とか侮るのはもったいないです。
 こうした技術は大切ですし、すごくあこがれます。

 復元模写(現状模写ではない)についての詳細な解説付きビジュアル本を
 紹介しておきます。こうした背景を知ると、模写もより感慨深いものです☆
 
 
よみがえる源氏物語絵巻―全巻復元に挑む
NHK名古屋「よみがえる源氏物語絵巻」取材班
日本放送出版協会
2006-02




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