ほぼ毎日ちょっとずつ更新【日微通信】
 
 弐◆人物編◆

  2015/08/31
 蘆屋道満

 陰陽師のヒーロー安倍晴明の最大の敵役が蘆屋道満(あしやどうまん)

 晴明が確実に実在した平安中期の官人陰陽師(の進化形)だとすれば、
 道満は原型からしてあやふやな空想上の人物(笑)といえます。

 江戸時代初期に刊行された『安倍晴明物語』で晴明が神の落胤(信太の狐、
 信太明神)とされるのに対し、道満は晴明に弟子入りしながら師の留守に
 妻を籠絡し、卑劣な手段で晴明の命を奪う(その後復活しますが!)悪役ぶり。
 同じく江戸期の『蘆屋道満大内鑑』では名誉回復も見られるものの、
 いわゆる悪役キャラの陰陽師として定着しています。


 蘆屋道満とは何者なのか?

 この本に答えらしきものがありました。

 
 
 道満の原型は、晴明らのような官人の陰陽師ではない、非公式の法師型の陰陽師
 ではないかといいます。律令官人の陰陽師は陰陽寮に属しますが、数は20人程度。
 多くの貴族たちから陰陽師が求められていた平安時代、陰陽師は不足していたのです。
 藤原実資(右大臣)の『小右記』にも記録が残るように、当時の上級貴族も法師型の
 陰陽師を使用していたようです。

 当時の貴族社会では「呪詛」という行為は日常茶飯事、しかし重罪でした。
 呪詛がきっかけで没落した権力者に、藤原道長と競った甥の藤原伊周(これちか)
 います。彼の母方の親族が道長や関係者を呪詛したとされたためですが、
 この親族のひとりが高階光子――彼女の家に出入りしていた法師陰陽師に、
 「道満」という名の者が見えるそうです。この事件で罪に問われたのは円能という
 法師陰陽師でしたが、なぜか後世、悪役としてその名を広めたのは道満でした。

 ちょっと気の毒な取り違えですね……!


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