◆本紹介◆平安時代・永井路子

 永井路子さんの古代史小説を紹介するコーナー、第二回目は
 前回の短編集『裸足の皇女』の姉妹編ともいえる『噂の皇子』です。
 前編(3編)に引き続き、後編残り5編です。
 
 噂の皇子
 ▲初版(文藝春秋・昭和63年)表紙。表紙も『裸足の皇女』と対になっています。


 歴史を裏側から覗くことのできる中編・短編集です。


  風の僧

 からっ風の吹きすさぶ坂東平野にあらわれた、中年の僧。
 よそ者らしい彼の目から、このあたりに息づく“平将門信仰”ともいえる
 庶民の空気、願望、希望を描く。 


  双頭の鵼

 三位頼政といえば、以仁王を奉じて平家に反旗を翻し、落命した義理の人。
 鵼(ぬえ)退治の伝説も持つ武人にして穏やかな歌人でもある。

 が、果たして彼の本当の姿は? 彼は何を思っていたのか?
 彼に関わる四人の人物が、それぞれの「源三位頼政」を語る――
 そこからあらわれる頼政はどんな人物? 判断は読者にゆだねられる。


  二人の義経

 「義経」ときけば、当然源頼朝の異母弟のあの「九郎」義経を思い出す。
 この短編の主役もその義経である。
 頼朝の名前にまったく動じない武士たちが、義経が名乗るとたちまちひれ伏す。
 最初は気をよくしていた義経だが、実は……

 たしかに『吾妻鏡』にももう一人の源義経は存在している。


  六条の夜霧

 ある盗賊を描いた短編だが、印象に残るのは、貴族の従者たちである。
 「桜子日記」や「王朝無頼」でもそうだが、貴族の従者たちはそれぞれの主人
 たちの関係性の下で、男女の間柄など、関係を結ぶことが多い。
 そうした従者たちの姿が生き生きと描かれている。
 

  離洛の人

 最後は最初の「噂の皇子」よりさらに時代を戻して、「離洛帖」の名筆などで
 有名な、藤原佐理の話である。

 もちろん芸術論ではなく、むしろ、この時代にはまだ“芸術家”は存在しない、
 佐理とともに後世「三蹟」と呼ばれる同時代人の藤原行成も同様に、
 あくまで貴族で高級官僚だったのだ
 そうした面から見つめ直した、藤原佐理の姿とは?

 道長主役の長編『この世をば』の中でも、佐理については触れられています。



噂の皇子(みこ) (文春文庫)
永井 路子
文藝春秋
1991-09


 古代史作品年表・永井路子本棚へ


゚・:,。゚・:,。★ ↓↓↓ 古代史推進のために! クリックしていただけるととても嬉しいです゚・:,。゚・:,。☆
にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村

日本史 ブログランキングへ