◆本紹介◆
2016年2月の新刊『六国史――日本書紀に始まる古代の「正史」』。
遠藤慶太著、中央公論新社(中公新書2362)。
帯付きの書影はこんな感じです
奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書“六国史”(読み方は「りっこくし」)
とは、日本書紀・続日本紀・日本後紀・続日本後紀・日本文徳天皇実録・
日本三代実録の6編で、天地の始まりから平安中期の887年8月までの
国家の動向を連続して記録した“正史”です。
この一般向け学術書では、各書を解説、その真偽や魅力を紹介しています。
全体の説明の序章(六国史とは何か)に次いで、第1章では日本書紀を一章分
費やして紹介(日本最初の歴史書―『日本書紀』)。政府がまとめた歴史書という視点、
記述の素材史料、伝承と史実のあいだや紀年のずれなどについても解説します。
第2章は続く2編について、主に桓武天皇を中心とした政治史から確認します
(天皇の歴史への執着―『続日本紀』『日本後紀』)。
『続日本紀』に入ると神話がなくなり、また格や、正倉院文書・木簡などの一次史料
との照合が多くできるようになり、正史を学ぶ入口としてふさわしいのですが……
第3章は続く3編(成熟する平安の宮廷―『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』
『日本三代実録』)。しだいに正史に現れてくる変化について分析します。
最後の『日本三代実録』と並行して、それまでの国史の記事を分類する作業が
進行します(『類聚国史』の編纂)。その意味するところは?
そして最後の第4章では、六国史以後の時代、完成した六国史がたどった歩みを
追っていきます(国史を継ぐもの―中世、近世、近代のなかで)。
第二次世界大戦の終わる1945年までが対象です!
その後の史書、六国史の紛失や発見、読み継がれ方など(“改竄”を含む)……
かなり淡々とざっくりと、章構成について説明してきました。
六国史全体をまとめて見渡せる最新の書、ということで一読の価値ありと思います
私自身は、やはり桓武天皇周辺の歴史に興味があるので、第2章が気になります。
最後の章(第4章)もまた、じかに現在につながってくる興味深さがあります。
4章の締めくくりに、政府が六国史を刊行しない(定本を公表しない)ことが書かれており、
そういえばそうだなと(作業をしたこともあったようですが、完成にいたらず)。
(…)いよいよ国史を継ぐものは民間である、といってよいのではあるまいか。[222頁]
参考までに……
画像が粗く判読しづらい部分もありますが、以前私がまとめた六国史表
゚・:,。゚・:,。★ ↓↓↓ 古代史推進のために! クリックしていただけるととても嬉しいです゚・:,。゚・:,。☆
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遠藤慶太著、中央公論新社(中公新書2362)。
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奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書“六国史”(読み方は「りっこくし」)
とは、日本書紀・続日本紀・日本後紀・続日本後紀・日本文徳天皇実録・
日本三代実録の6編で、天地の始まりから平安中期の887年8月までの
国家の動向を連続して記録した“正史”です。
この一般向け学術書では、各書を解説、その真偽や魅力を紹介しています。
全体の説明の序章(六国史とは何か)に次いで、第1章では日本書紀を一章分
費やして紹介(日本最初の歴史書―『日本書紀』)。政府がまとめた歴史書という視点、
記述の素材史料、伝承と史実のあいだや紀年のずれなどについても解説します。
第2章は続く2編について、主に桓武天皇を中心とした政治史から確認します
(天皇の歴史への執着―『続日本紀』『日本後紀』)。
『続日本紀』に入ると神話がなくなり、また格や、正倉院文書・木簡などの一次史料
との照合が多くできるようになり、正史を学ぶ入口としてふさわしいのですが……
第3章は続く3編(成熟する平安の宮廷―『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』
『日本三代実録』)。しだいに正史に現れてくる変化について分析します。
最後の『日本三代実録』と並行して、それまでの国史の記事を分類する作業が
進行します(『類聚国史』の編纂)。その意味するところは?
そして最後の第4章では、六国史以後の時代、完成した六国史がたどった歩みを
追っていきます(国史を継ぐもの―中世、近世、近代のなかで)。
第二次世界大戦の終わる1945年までが対象です!
その後の史書、六国史の紛失や発見、読み継がれ方など(“改竄”を含む)……
かなり淡々とざっくりと、章構成について説明してきました。
六国史全体をまとめて見渡せる最新の書、ということで一読の価値ありと思います
私自身は、やはり桓武天皇周辺の歴史に興味があるので、第2章が気になります。
最後の章(第4章)もまた、じかに現在につながってくる興味深さがあります。
4章の締めくくりに、政府が六国史を刊行しない(定本を公表しない)ことが書かれており、
そういえばそうだなと(作業をしたこともあったようですが、完成にいたらず)。
(…)いよいよ国史を継ぐものは民間である、といってよいのではあるまいか。[222頁]
参考までに……
画像が粗く判読しづらい部分もありますが、以前私がまとめた六国史表
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