◆テレビ番組紹介◆平安時代、BS11(2016) 

 藤原道長自筆日記・国宝「御堂関白記」の謎(#65)放送内容


 京都・陽明文庫をたずねて

 先週(2016/6/9)放送のBS11『京都・国宝浪漫』レポです。

 平安時代の権力者・藤原道長自筆部分が残る日記「御堂関白記
 2013年に世界記憶遺産にも認定されたこの世界的にも貴重な国宝は、
 京都右京区にある陽明文庫に保存されています。

 御堂関白記テレビ
 ▲番組より

 陽明文庫は、五摂家筆頭・近衛家に伝わる名宝10万件以上を保存管理しており、
 昭和13年(1938)に、当時の当主・近衛文麿によって創設されました。
 国宝8件・重要文化財60件を擁する貴重な施設です。

 放送では、同文庫での厳重な名宝収蔵の様子、また、名宝中の名宝「御堂関白記」
 はじめ、その他の貴重な史料について紹介されました。


 この記事では、
 (1)陽明文庫のあらまし
 (2)番組で取り上げられた「御堂関白記」ハイライト記述
 最後に興味深い関連参考書籍をお届けします。



 陽明文庫とは~道長自筆「御堂関白記」の現存状況

 京都市内西北、仁和寺にも近い宇多野の奥まった地に、陽明文庫はあります。
 番組の案内役は、同文庫一筋60年の現文庫長・名和修さん。

 高床式鉄筋土蔵造りの書庫2棟、閲覧用の数寄屋建築虎山荘などの建物があり、
 いずれも国の登録有形文化財となっています。
 余談ですが、虎山(こざん)は文麿の号で、ここ虎山荘は、終戦直前に文麿が
 昭和天皇の弟・高松宮宣仁親王を招いて皇統存続に関する密談を行ったという
 歴史的舞台でもあります。

 番組では、書庫内の様子も放送。また、虎山荘の一室で、名和氏が国宝
 「御堂関白記」を厳かに開きます。後ろには文麿筆の「花有清香」の掛け軸が!
 1000年も前の平安時代に藤原道長がこの紙に向かい合って筆を走らせた日記を、
 20世紀の昭和に首相をつとめた近衛文麿の掛け軸に見守られながら拝見――
 まさに近衛家の歴史の重みを感じます


 また、別の紹介役として京都橘大学・福嶋昭治教授が出演されており、
 「陽明文庫の史料をよくぞ残ったといいますが、それは間違いで、
 よくぞ残した、なのです」
 という意のことを仰っており、印象に残りました。

 応仁の乱はじめ京都には昔から火事も多く、その中で現代まで道長自筆の日記を
 受け継いできた近衛家の努力は本当にすごいと思います。
 「御堂関白記」に限っていえば、道長自筆本は本来36巻存在したはずですが、
 現在に伝わるのは近衛家に伝わる14巻のみです(ほかに写本がある)。
 近衛家から九条家が分かれ、さらに鷹司家が分かれ、都度自筆本を分割したと
 推測されています。分割した自筆本は残念ながら現存しません。

 本当に、よくぞ「残した」ですね

 

 番組ピックアップの「御堂関白記」の注目記事!


 (1)長保2年(1000)正月10日条
 印象的な抹消がある箇所です。こうした抹消が分かるのは自筆本ならではで、
 写本では抹消部分を省いて書写するので、自筆本が残って初めて分かる事実です。
 実は「御堂関白記」中、最大の抹消箇所なのだとか。

 消された部分を丹念に観察すると、有名な陰陽師安倍晴明の名前が2度にわたって
 書かれています。どうやら道長の長女・彰子立后によって、定子との“一帝二后”に
 なることを逡巡していた一条天皇が、内諾を出していた立后の発表をまだ控えるよう、
 道長に要請したらしいのです。立后の日取りを晴明に勘申させたようなのですが……

 それで必死になってか意地になってか、ものすごい抹消となったようです。
 実物を見ると、黒々とした墨塗りが1行まるまると前後計3行にかかっています。

 (2)寛仁2年(1018)10月22日条
 「御堂関白記最大の文字数の記事で、1869字に及ぶそうです。
 娘三人が后(太皇太后・皇太后・皇后)となり、前代未聞の“一家三后”の栄華を
 達成したころの記事です。有名な「この世をば」望月の歌を詠んだ6日後にあたります。

 この日孫の後一条天皇の土御門第行幸と三后・東宮敦良の対面が行われました
 (東宮妃も道長の娘です)。まさに道長、幸せの絶頂期

 実物を見ると、「難盡言語未曽有事也」(言語に尽くし難し、未曽有のことなり)と
 記してあります。

 

 陽明文庫や「御堂関白記」を知る参考文献

 この記事を書くにあたって、放送内容のほか、以下の文献を参照しております。

 ❖陽明文庫について……
 田島公編『近衛家名宝からたどる宮廷文化史 陽明文庫が伝える千年のみやび』
  笠間書院、2016年
 ❖御堂関白記について……
 倉本一宏『藤原道長「御堂関白記」を読む』講談社、2013年
  ☆倉本氏の御堂関白記関連本はいくつかありますが、実物日記の図版が豊富

 御堂関白記書籍
 

 


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