瀧浪ユカリ『あさはかな夢みし』/えすとえむ『いいね!光源氏くん』
平安時代系(?)漫画、2作品!!
わりと最近刊行された、平安時代をモチーフ(?)にした漫画をご紹介します。
平安時代「系」としたのは、純然たる平安時代漫画を想定されると「えっ」と
思われるかもしれないので……
ひとつは平安時代人が現代へタイムスリップする現代もの、もうひとつは
舞台は平安時代であるものの、メインテーマがいわゆる腐女子であるものです。
あの「光源氏」が私の部屋に?!――『いいね!光源氏くん』
昨年(2016年)9月刊行の漫画。
あの紫式部の長編小説『源氏物語』の圧倒的主人公・色男“光源氏”が、
どういうわけか平凡な都内在住OLの部屋に突然現れた
タイムスリップどころか架空の人物だよ光源氏……
突如現代に現れた平安時代の色男が繰り広げる珍行動。
スマホでツイッターを使いこなし、ことあるごとに和歌を詠む!
そして烏帽子は脱げないので(※当時は恥ずかしい行為)ニット帽で外出!
漫画の裏表紙をご覧いただければ、内容概ね伝わるかと思います。
平安時代真っ只中の“腐女子”を描く『あさはかな夢みし』
こちらは正真正銘、平安時代が舞台ではありますが、作者はあの有名な『臨死!!
江古田ちゃん』の作者・瀧浪ユカリさん。
もちろん、タダの美しい平安時代物語で済むわけがありません
この漫画、ズバリいわゆる腐女子を描いています。
主人公は物語が大好きな女子・藤原夢子。自分の恋など当然まったく興味なく、
ひたすら二次元(それも男同士の……)への情熱に身を焦がす。
彼女の妄想暴走ぶりが楽しい(っていうか、絵柄や表現のある意味エグさから
いって、ああいう感じに耐性がないと受け付けないかもな……)
1巻では夢子の屋敷が舞台で、完全架空ものかと思いきや、なんと後半にきて実在の
平安時代人が一人登場してきます。(もう一人馬内侍も実在といえば実在なんですが)
さらに2巻では、夢子が宮中へ仕えることになり、内容がさらにパワーアップ
実在人物が一挙に増え、夢子にも仲間(※腐女子)ができ、妄想もパワーアップ
一例として下の図は仲間3人が『万葉集』の大伴家持と大伴池主(※男同士です)の
場面で妄想を燃やすところ(※まだマトモな頁を選んでいます)。
▲2巻より一部抜粋
実在人物の有名度も急上昇で、あの藤原道長まで登場します(※かなり変態です)。
道長の息子たち、顕信と能信が主要キャラとして出てくるのですが(どちらも源明子の
子という微妙さ)、作者は能信がお好きだと2巻のコラム欄に書かれていました。
能信は「摂関政治を終わらせた男」(同上)だそうですが、その辺は永井路子さんの
小説『望みしは何ぞ』を読むと楽しくてわかりやすいでしょうかね。
さて「暗部屋の女御」こと藤原尊子に仕え始めた(若干主従萌え入りつつ)3人組、
今後の展開やいかに?!(尊子ももちろん実在人物です。)
そして、道長の今後もいかに??!
さらに実在の登場人物は増えていくのか
どんな古典に関する腐女子的妄想(解釈)が出てくるか
2016年3月下旬、3巻発売予定だそうです☆
■書誌データ■
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